イギリスでも、黙っていられません

海外駐在妻の、世界へ向けたひとりごと

新型コロナとイギリスロックダウン(封鎖)ビフォーアフター 

 

 

私が住む、ロンドンから1時間ほど離れた学術都市での、ロックダウン(封鎖)前後の様子を記録します。

私のお粗末な記憶と所感の限りなので、細かい点で間違いがあるのはご容赦ください。
今後日本でもロックダウンが起きるのではないかと、不安になっている方たちの参考になれば幸いです。

先に話しておくと、イギリスは先進国のイメージがありますが、医療システムは非常に厳しい状況です。

そして、今はないといわれていますが階級差もまだまだ存在するように感じます。

つまり、イギリスの経済格差は大きく、保障制度も脆弱に感じられます。
そんな中でも、こうして多少の混乱がある中ロックダウンがなされています。

日本でロックダウンがなされる場合は、イギリスや欧州諸国のロックダウンの反省を踏まえてもう少しスムーズに行われることと、信じております。

 

それでは、イギリスのロックダウン振り返り。

ざっとこんな感じでした。

 

2月中旬から下旬 

 

新型コロナはアジアでの感染症というイメージ。

イギリスの人たちは普通の生活をしていた。ときにはアジア人留学生が町で差別されることもあった。

食事パーティーで日本人の私と夫が座ると、欧州人が横に座るのをためらう場面に幾度か遭遇した。

結局中国人グループやアジア系の人が隣に座った。

欧州人は、「ご家族大丈夫?」「日本はどんな衛生対策をしているの?」と心配してくれる。

マスクをしているのは、少数のアジア人のみ。

 

3月初旬

 

イギリスでも感染者数が増加し70人ほどになった。
しかし、通常通り教会は一般開放され、町の催しも当然のように行われていた。

日本でのトイレットペーパー買い占め問題が起きたあと、3月7日くらいにイギリスの通販サイトを確認した。

トイレットペーパー、米、アルコール除菌剤すべて購入可能の状態。

マスクをつけたりアルコールジェルを持つ人が少し出てきた。

「イースターホリデーの予定は?」と尋ねると、「新型コロナが怖いからね、ロンドンですら行きにくい」と答えるアジア人。

一方、「孫と湖水地方へ行くわ」と笑顔で答えるイギリス人のおばあちゃん。
心臓疾患でつい最近体調を崩していたのに、ボランティアイベントの主催者をかってでる奥様も。

まだまだ、新型コロナへの危機感は薄い。

 

3月10日から15日ころ

 

3月10日ころのこと。3日前まで在庫が十分にあったのに、イギリスの通販でトイレットペーパー、米などが売り切れ・購入不可となる。

ロンドンはトイレットペーパーの買い占め問題が起きる。

わが町ではまだトイレットペーパーは購入できたけれど、明らかに品数が減少。

スーパーのアジア食材コーナーに米がないこともあった。

これについて市内在住のロシア人、インドネシア人友人に聞いてみたところ

「どこもそうよ」とあきらめモード。

 

アジア食材専門店に行けば、米を10キロ20キロ単位で購入可能だった。

教会は引き続き一般開放され、町の催しも通常通り行われていた。

トイレの洗剤が完備されたり、公共施設の清掃が徹底される傾向になってきた。

日本が中国の渡航制限を設けた。

欧州もいつかそうなるのだろう、と覚悟したものの、それはまだまだ先だと思っていた。

 

 

3月16日から18日ころ

 

イタリアやスペインで感染者数がどんどん増え、

いよいよ、イギリスのスーパーでも品切れ問題が起きる。

最初はトイレットペーパーやハンドソープ、解熱鎮痛剤パラセタモール。

そのうち、日持ちする食べ物がスーパーから消えた。缶詰、シリアル、ジャガイモ、米、玉子など。

肉コーナーには商品皆無。ベーコンやハムもない。

リンゴ、葉野菜、ミカンはある。パンも買えなくない。

マスクの人は、まだそれほどいない。

ときどき、意識高い系マダムが手作りのマスクとサングラスで歩いていたり、防毒マスクみたいなものを着けたオニイチャンがいる。

 

大学の寮がどんどん閉鎖され、まだ試験や講義が残る場合はオンラインで…という流れとなる。

 

3月19日から23日ころ

 

スーパーの品切れ対策がだいぶなされてきた。朝早く・または品出しの時間に行くと、高いけれどトイレットペーパーが買えた。食材も、不足しているけれど何件かスーパーをめぐって必要な分確保できるようになった。

 

予定されていたポトラックパーティーや講演会などは突然中止となる。

 

世界各国が欧州の渡航制限を開始したため、帰国する留学生が急増。

寮を追い出され、泣きながら発展途上国である母国へ帰る子たちも…

彼らは来学期、ここに戻ることができるのだろうか。学業を続けることができるのだろうか。

イギリスは、劇場、レストランなどの営業ストップがかけられる。持ち帰りの飲食店はOKということで、スタバやコスタ、マクドナルド、ファイブガイズなどチェーン店は持ち帰り形式で営業継続。

 

 

3月23日 イギリスのロックダウン発令 

 

夜9時、ジョンソン首相がロックダウンの措置を発表。違反した場合は罰金も。

 

3月24日 ロックダウン1日目

 

ロックダウンがスタートし憂鬱だったものの、いいこともあった。

スーパーの品ぞろえが突然よくなった。

買えないものはないどころか、充実しすぎるくらい充実し、綺麗に並べられている。

入口にはハンドクリーナーが設置され、店員が入場者数の制限をするために誘導している。

客は入口で、2メートルずつ間隔をあけて並ぶ。セルフレジは1つおきに使用禁止とし、周囲の人との距離を十分とることができる。

 

マスクの人が増え、マスクがない人はストールやハイネックセーターで口元を覆っている。

 

1日1度の運動のための外出も許されているため、公園には散歩を楽しむ人があふれる。
ジョギング、サイクリングも許されている。

家のベランダで日光浴を楽しむ人、庭仕事をする人も。

 

3月25日 ロックダウン2日目

 

市街地へ買い物に。歩いて行く。バスは運航しているものの、客は誰も乗っていない。

中心街からホームレスが消え、労働者が煙草を吸ったり電話をしながら一服している様子が見られた。

お土産屋さん、雑貨屋さん、レストラン、カフェは「しばらく休業」の札を提げて閉店。

街はゾンビタウンのように静か。

お菓子、缶詰、ワイン屋さん、紳士服店などは、ショーウィンドウを割って商品を盗み出されないように、店の商品をすべて片付けて、空き家のような状態になっていた。

 

本日開かれるはずの市場は突然の休業。ホームページにその旨の掲載はなかった。

市街地のスーパーも品ぞろえが豊富になっていた。

しかしトイレットペーパーは相変わらずない。

イギリスの通販では、トイレットペーパーや米の注文がスムーズにできるように戻ったが、到着までに1か月ほどかかることになっていた。

しかし最近は、到着予定日が1か月早まり、「数日後にお届け」と表示されるようになった。

 

ロックダウン初日は、みんなおそるおそる人と人との距離をとって生活している印象だった。

しかし、今日は3人以上が寄り添って日光浴する姿を何度か目撃。

(警察に注意されることもあるので、3人以上で寄り添って過ごすのは注意)

みんな心細いから、ついつい寄り添ってしまうのだろう。

一人暮らしの人や、高齢のご両親と離れて暮らす人の不安はいかほどか。

イギリスはただでさえ、持病のある人が多い。

 

ここまでの振り返り

 

「イギリス人は、戦争が起きても、ゾンビが出てもパブに行く」というくらい、普段どおり生活することを大事にしている。

ロックダウンが起きてもジョギング、散歩、庭仕事を楽しむイギリス人。

彼らにとって、休日は「いつも通りの生活を、いつもよりゆっくりすること。

でも、これは、富裕層や中流階級の話。

もっと過酷な労働者階級は、どんな不安な気持ちでいるのだろうか。

祖国から遠く離れた移民たちの気持ちは…?

世界には、石鹸で手洗いすることが難しい国もたくさんある。

 

この生活が3週間続くことによるストレスはいかほどか。

 

何度唱えたかわからないけれど、早くこの状況が終息することを祈る。

 

 

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