イギリスでも、黙っていられません

海外駐在妻の、世界へ向けたひとりごと

イギリスの帽子とヘアスタイルの文化を学ぶ

先日、イースターのオンラインワークショップでイースターエッグの染色方法とともに

帽子の飾りつけについて教えてもらった。

 

 

norevocationnoyo.hatenablog.com

 

 

 

イースターにかぶる帽子はイースターボンネットといって、帽子にイースター関連の装飾がついている。

これをかぶってイースターのパレードに参加するのが欧米式だそう。

 

そういえばウィンブルドンでは麦わら帽子をかぶってくる人が大勢いたり、

イギリスの伝統的競馬ロイヤルアスコットでも華やかな帽子やヘッドドレスがドレスコードとなっている。

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ロイヤルアスコットは毎年6月に1週間開催される。

 

紳士の皆様も、シルクハットやハンチング帽などおしゃれな装いで出かける姿をよく見る。

イギリスはどうしてこんなにヘアドレスに関する意識が高いのだろう。

以前図書館に行って調べた本があったので、それをもとに紹介する。

 

私が読んだ本

 

Hats and Hairstyles (A Fashionable History of...)

Hats and Hairstyles (A Fashionable History of...)

  • 作者:Reynolds, Helen
  • 発売日: 2004/01/19
  • メディア: ペーパーバック

 

アマゾンの評価が意外と低いので驚いたが、欧米諸国の人にとっては基本的な情報であったために、

期待以下だったのだろう。

 

図書館の絵本コーナーに置かれていて、私には非常に楽しい内容だった。

内容を、私の小さな感想とともに少しご紹介。

(翻訳ミスがあるかも。ごめんなさい)

 

イギリスの「かぶりもの」「ヘアスタイル」の歴史

 

 

1800年代のヴィクトリア時代 帽子は頭を守り防寒の機能を持つだけでなく、権威の象徴だった。

 

王冠とか、そういうもののことかな。

 

ローマ時代から、女性は髪を長くし、染めた。

エジプトは後頭部をそり上げて横の部分だけ伸ばした。

 

 

イギリスの歴史って、小学校の教科書でもローマ人やエジプト人の暮らしが触れられていて

こういうのがとても楽しい。

 

女性のヘアスタイルはロングである時代が第一次世界大戦まで続いた。
その後ボブヘアが登場し、衝撃を与えた。

 

私が住んでいた町でもボブヘアは人気があり、美容院でお願いすると、

ボブに関しては非常に満足度の高いカットをしてくれた。

でも、欧米の方のボブっておしゃれだけど、私の頭の形だと、どうしても日本人形のようになってしまう。

 

 

 

1960年代には、ボブヘアは自由と変化の象徴となり、それに合わせたファッションが浸透する。
男性は刈り上げたり、パンクヘアを取り入れるようになり、アフリカからドレッドやアフロも取り入れられた。

アイデンティティの象徴として、個性を生かした髪形が人気となる。

 

 

権威の象徴だった「 かぶりもの」の時代が、今やアイデンティティの象徴としてのヘアスタイルとなったのね。

 

 

かつらのこと

 

かつらは1700年代から、裕福な人たちに用いられた。

水が貴重な時代は髪の毛の手入れが大変なので、ウィッグを使うようになった。人毛や馬の毛を使ったウィッグだった。

かつらには香水がまかれた。

 

 

そういえば、以前訪れた博物館に、かつら専用のクローゼットがあった。

かつらを干しておく場所らしい。ここで香水をつけたのかな。

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奥まった部分にかつらを保管しているのが見える。

 

 

かつらはヘアスタイルを即座に変える便利な道具だったが、今はヘアカールや染色技術が発達したため、はげを隠すためにかぶる人の需要がほとんどとなった。

 

 

ヘアアクセサリ

 

ギリシャやローマでは古代金銀ジュエリーがヘアバンドで取り付けられた。

12世紀のヨーロッパでは、ヘッドドレスやレースのベールがつけられるようになる。

1700年代にはクラシックなパーマがはやり、そこに羽根飾りや花がデコレーションされた。それらは大きすぎるがために、背丈以上の規模となってファッショナブルではなかった。

 

 

「背丈以上の規模」の羽根飾りやデコレーション…
フランスでは気絶寸前までコルセットを締め上げて着たというし、

日本の文金高島田はめちゃくちゃ重いし、

世界のおしゃれは、ほんと体力勝負…

 

 

宗教における「かぶりもの」

 

王冠や、ビショップがつけるmitre という帽子、キッパ、ターバンなど、宗教やセレモニーによってつけるタイプの帽子が異なる。

 

 

頭を守るための帽子

 

わらでできた麦わら帽子は日差しよけ、自動車に乗るときの風よけ帽子などのタイプの帽子も1800年代からある。

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ウィンブルドンでも、麦わら帽子をかぶる観客が。

 

ウィンブルドンについて、過去にこんな記事を書きました

 

norevocationnoyo.hatenablog.com

 


 

 

ヘルメット

 

古代ヨーロッパでは、馬の頭蓋骨をかぶったのがヘルメットの始まりとなる。

その後鉄のヘルメットができるものの、重かった。

 

 

今もイギリスでは自転車に乗るときにヘルメットをかぶる人が多い。

ケンブリッジでも自転車事故で亡くなる学生がいる、というお話を聞き、私もあわてて着用するようになった。

日本の中学生がかぶるヘルメットよりも軽い。

おそらく発泡スチロールの素材でできている。

…頭、守れてるのかな。

 

ターバンやヘアドレス

 

1700年代に、東の国からヨーロッパにターバンの文化が取り入れられた。

男性はどこかへ訪問するときや家でくつろぐときにターバンを使っていた。

18世紀終わりごろには、女性にとってターバンはイブニングドレスと一緒に楽しむものとなった。アクセサリーや羽根と一緒に楽しまれた。

20世紀にはヘッドスカーフとして登場し、エルメスのスカーフとして有名になり、エリザベス女王が1926年に購入したほどだった。

 

 

スカーフを上手に取り入れる欧米人の方をよく見かける。

ターバンから発展したものだとは!

 

帽子の歴史

 

中世(11世紀から13世紀)には、女性の帽子も様々で、高さのあるものが多かった。

シルクハットやsmall brimmed hat (capotain),busbyなど、仕事によってかぶるものも異なる。

1500年代には、平たい帽子が男女ともにはやる。
貴族たちのヘアドレスとしてダチョウの羽根をつけたり、リネンで作られた。

 

1600年代には羊毛の平たい帽子が安く売られ、貴族以外にもはやりだした。

1800年代にピークをむかえ、労働者階級にもかぶられるようになる。

上流階級は狩猟やゴルフに行くときにこれをかぶり、中流階級はハイキングやサイクリングするときにかぶった。
でも、町ではかぶらなかった。

 

 

 

ここ50年、外出のために帽子をかぶるという習慣はほとんどなくなった。

フォーマルな場面でドレスアップしたときのファッションのひとつとして装着されることが多くなる。

ファッションとしての帽子は、1800年代のボンネットが進化して、大きくて目立つ形にデザインされることが多くなった。

 

昔は帽子を作るときに水銀がつかわれていたので、その毒で体調を崩す帽子職人もいた。

帽子は販売業者によって大量生産されるようになる。

 

 

 

イギリスのあらゆる行事でみられる華やかな帽子文化。

こんな変遷をたどって今に至るとは。

日本は明治に西洋化が進んでヘアドレスの文化も がらっと変わってしまったけれど、

イギリスはこんなに長いヘアドレスの歴史があったなんて。

 

今、イギリスでは新型コロナの予防のために

多くの人が口元をスカーフで覆い、目はサングラス、手袋のいでたち。

最近は、大きなサンバイザーやプラスチックのシールドがついた帽子をかぶっている人も見かける。

 

早くおしゃれのために帽子をかぶって出かけられる日がまた来てほしい。