無料語学学校で英語力が伸びた話3 語学学校の先生を困らせる
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ピグマリオン効果というものがある。教師の期待によって学習者の成績が向上する心理現象のことだ。
残念ながら、私は出来のいい生徒ではなかった。
決して難しい内容の課題ではないのに、うっかり間違った答えを選択する私は、明らかに出来の悪い子だった。
そして、花粉症と排気ガスで目がチクチクし、自転車通学の疲労でよれよれだった。
だから、先生に期待される要素はなかった。
でも、私がみんなと違う点がふたつあった。
1つは、先生に質問をする姿勢。
2つめは、辞書で調べる癖。
黙って授業を聞く生徒たちの中で、唯一質問をしようとする私。
これは、良くも悪くもクラスの雰囲気を変えた。
自信がなさそうに授業をする先生たちは、私からの質問があると戸惑った。
なぜなら、私の質問が漠然としていて、答えにくいものだから。
(私は、日本語でも説明が難しい内容を、なにも考えずに質問してしまう癖がある。
しかも、支離滅裂な英語で躊躇なく質問するから、新米先生たちは対応に困った。)
。
また、私はもうひとつ、先生たちに悩みの種をまいていた。
当然だが、先生は、英語で解説をする。そして、生徒は先生の説明を一言も聞き漏らさないように集中する。先生は、生徒に「英語で」理解してほしいのだ。でも私は、ひとり日本語の辞書にしがみついて、大事な内容を自分のノートにまとめる個人プレイに徹している。
私は恥ずかしかった。先生の問いかけにみんなが一斉に答える姿は、まるで犬の訓練のようで、そんなことをしたくなかった。辞書とノートに必死でしがみつき、うつむいているのが精いっぱいだった。
先生たちは、一人浮いた私のことを厄介に思っただろう。こいつの態度をどうしたらいいものか…
そんな中、ひとりの先生が立ち上がった。
6人の先生の中で2番目に若く、それなのに堂々とした人だった。デイビッドという。
新米先生たちはいつも緊張していた。
能面のような(いや、能面よりも立体的な…くるみ割り人形のような?)無表情で授業をしている中で、デイビッドだけは、感情を交えて、笑顔や困った顔で単語の意味を表現しようと奮闘していた。
そして、生徒の名前を誰よりもはやく、正確に覚えた。
私の名前を間違えずに言うことができ、初日に私が話したホームタウンのことも覚えていた。
デイビッドは授業が終わったあと、私に特別な宿題をくれた。
「3つの質問の回答を交えて、エッセイを書いてきてほしいんだ」
やっと1週間の授業が終わり、ほっとしていた金曜日のことだった。
ストレスフルな1週間だった。来週も続けることができるだろうか…そんな不安を抱えていた私に、デイビッドはとてもいいタイミングで宿題をくれた。
もしデイビッドがいなかったら、私はあのとき、無料英語教室を辞めていたかもしれない。
ピグマリオン効果のスイッチが、カチリと音を立ててオンになった。
「よくも悪くも、私は先生たちに注目されている。この苦しい現状を脱しなければ。」
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