イギリスでも、黙っていられません

海外駐在妻の、世界へ向けたひとりごと

日本の9月 イギリスの9月  

 

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私の故郷は避暑地として名高かったのに、ここ15年で夏の気温がかなり上がって、冷房なしではいられなくなってしまった。

それでも、暑さ寒さも彼岸まで。

お盆には稲穂がだいぶ黄色くなり、秋分の日を迎える今は稲刈りが始まった。

たった1か月で衣類は半そでから厚手の長袖に変わり、扇風機をしまうとともに毛布を引っ張り出さずにはいられなくなった。

 

イギリスの夏と秋は、もっと重なりあっている印象がある。

イギリスの夏は、最高気温が29度くらい。
しかし、夕方は意外と涼しく、冷房や扇風機がなくても真夏を乗り切ることができた。ときどき夕立があったりするくらいで、日本のような水害や台風もない。2019年の猛暑や災害で苦しむ日本に申し訳なさを感じた。

そんな緩やかで張り合いのない夏だったけれど、印象的だったのは日の長さだった。

真夏は朝の4時に強烈な太陽の光を感じて目を覚ましていた。

東側に大きな窓を持つ我が家のリビング。
ここのソファで一夜を明かした私は、朝4時の突然の陽の光に驚いて目を覚ました。
日本のような刺すような強さではないけれど、じわじわと部屋全体をじっくりと温めにかかってくる。
夜は20時になっても明るく、20時半に夕焼けを見た。
だから夏の花火大会は21時スタート。
始まるまで、芝生でみんなでピクニックやフリスビーを楽しむことができた。

逆に冬は朝7時になってもまだ暗く、15時には陽が沈んでしまう。寝坊すると損した気分になる。

冬の光を取り戻すように思いっきり遊ぶことができた7月8月の夏。でも、8月下旬になると次第に秋めいてきて、1日の気温差が激しくなる。

昼間は半そででもいいくらい暖かいけれど、夕方はなにか羽織らずにはいられない。

でもこれは私の体感であって、世界各国の人たちはめいめいの服装を楽しむ。

下着のような薄着で町を歩く人もいれば真冬並みのダウンジャケットを着こむ人もいて、自分のファッションが正しいのかなんなのかよくわからなくなる。

めまぐるしく変わる気温で、暑いのか寒いのかよくわからなくなった体から汗が出てきて気持ち悪い。

 

日本のように秋を感じさせる野菜や果物もない。

焼き芋、栗、おでんの大根、巨峰にりんご、スーパーに並ぶ鍋用野菜セット。

そういうものがイギリスには存在しないけれど、日本の秋ほど寒くないから、おでんが恋しくなったりもしない。

暑い日中はやっぱりアイスの屋台でソフトクリームやジェラートを食べ、冷たい飲み物を飲む。

夏の植物はだんだんと消えていき、9月には公園や芝生が少し寂しげになる。

紅葉にはまだ早く、かといって秋らしい草花が出てくるにはまだ暑く、9月の庭はとっても寂しい。

ケンブリッジのような大学都市はなおさら寂しい。
夏休みを利用して短期留学していた学生や観光客が8月末から次第に去っていき、9月は閑散としている。

新学期が始まる10月になると、枕や布団カバー、食器セットを購入する学生で町がにぎわうのに、9月は本当にひっそりとしていた。

突然雨が降ることも多くなり、足元も心もべちゃっとし、洗濯ものがしっかりと乾かない。

 

イギリスの9月は、渡英して間もない私と主人を鬱々とさせる天気だった。

不安しかなくて、なかなか心躍ることがなかった1年前だけれど、今写真を見てみると、あの気持ち悪さが、イギリスの初秋だったのかなと思う。

 

10月になると紅葉がとっても美しくて、気持ちの良い秋になるのだけれど。

 

 

 


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